大野

空白の大野のレビュー・感想・評価

空白(2021年製作の映画)
3.8
評価が高かったので期待していましたが、
妙に退屈でした。( ^ω^ ;)アレ...?

車に轢かれるシーンに関しては、
“ 映像技術としては “
かなりクオリティが高いので、

そこだけは一見の価値アリ。
何度見ても素晴らしい出来かと。

それ以外は、
キチガイおっさんを延々と眺めるだけ。

倍速&スキップ多めでいいと感じました◎


脚本の目指したところや、
伝えたいメッセージは好きです。

しかし作品としては、つまらない。

いかにも邦画。って感じ。

着眼点は良いのに、
演出や脚本その他諸々が弱く、

面白いのは頭の設定だけ、
尻すぼみの尺潰しに、強引な終わり、

まーたこれか、っていう。


リアリティで捉え倒すというのは、
確かに、僕は好みです。

実在しそうなロクでもない人間に、
当事者ならではの苦労、

ここに重点を置くのは、
大いにアリだと思うのですが、

いつまでも展開が変わらず、
変化しても既定路線、

演出も変わり映えしないとなると、
どうしても飽きるんですよね。

まして脚本にアラがあるとなると。

おっさんの最後にしても、
あれでいいんですか、、?

後半になるにつれ、
おっさんは徐々に納得しつつありましたが、
全ての元凶わかってるか??

おっさん、お前だぞ!汗

娘が道に飛び出したのだって、
おそらくですが、故意でしょうあれは。

万引きがバレてしまった、
父親に知られたら、、、もう無理、、、

っていう。

(歩道側の茂みに逃げ込むならまだしも、
 道側に逃げる理由がないですし、

 曲がるとしても普通、
 車線からして、
 駐車トラックの後ろで曲がるでしょ。

 どれだけ安全と分かっていたとしても、
 トラックの前を横切るのは、
 自然と恐怖するはず。)

そういった心情を、
結局おっさんは察してないだろうし、

最後、青柳に対しても、

「俺は大事なものをなくした、
 あんたも大事なものをなくした」とか。

いや、
娘亡くしたのは、主にお前が原因だし、

青柳が諸々無くしたのも、
主にお前のせいだがww
  
その上まだ「謝るなんてできないよ」とかw

どんだけ気持ち悪いんだ、、!汗

そしてその背景に、夕日を選ぶ辺り、
製作陣はガチのつもりなんだろうなと思うと、

もうネタすぎて、、笑ってしまう/(^o^)\

(おっさんが、
 青柳にも非があると考えてるのは、

 学校で聞いた痴漢情報なのだろうけど、

 確証なさすぎ、、!!

 ニュースに出てた、
 匿名の知り合い証言と、
 信憑性変わりないですよ?
 
 娘が逃げ続けた距離を考えると、
 途中に助けを求める場所や、

 誰かしら人がいたことは、
 察せるはずなんですよ。

 スーパー出て左には信用金庫と、
 100均(Seria)が映ってましたし、

 少なくとも、作中の逃げてる間に、
 3人の歩行者とすれ違っており、
 内2人は女性です。

 もし痴漢紛いなことがあったのなら、
 助けを求めるはずなんですよね。

 今作の舞台となったスーパーです◎
https://www.google.com/maps/@34.8068072,137.6544833,0a,82.2y,146.62h,102.27t/data=!3m4!1e1!3m2!1s49WyB1NfrZ9I1bkVpq5B6g!2e0?source=apiv3

 100均方向を進むと区役所もありましたb

 まぁ流石に区役所は映っていないので、
 区役所に逃げれば!
 なんてのは野暮ですが。笑)


そして、
個人的にかなり気になったというか、
破綻してんなー、、と感じたのが、

事故のシーン!

違和感しかない。


まず、乗用車。

駐車トラックの後ろに見えてた時と、
現れた瞬間の速度差。

アクセル全開オラオラ系だったのが、
影から現れた瞬間、急にスーー (・⊥・ )。

もう無に近いよね。

トラックの後ろで何があったよ。


そしてその後、衝突落下から、
かなり時間が経っての、

深ダンプドーン。

この時点で、
普通に深ダンプの前方不注意だろ。。

(落下からの時間測ると、約10秒でした)

まして、

深ダンプの来た方向には、
大きなカーブがあり、

事前に通っていた乗用車ですら、
カーブ時に減速している。

そんなところを大型車が、
あんな速度で来れるだろうか。

否、来れまい。

少なくとも、乗用車が撥ねた時、
運転席越しから見た風景では、
車両などいなかった。

となると、落下後の10秒間に、
カーブを曲がってきたという訳で、

反対車線には、立ち往生した車。

目を瞑って曲がってきた曲芸師でもない限り、
どうあっても気付くだろう。

(対向車が変な位置で停まってたら、
 よほど油断してても違和感しません?
 少なくとも僕は絶対します。。)

完全に深ダンプの兄ちゃん、ギルティ。

前方不注意による、
過失運転致死傷罪です。

ついでに言うと、

乗用車のフロントを転がった映像では、
隣に落ちた風に見えたのに、

まさかの反対車線にいたのもびっくり。

いや、、え?( ´∀`)

うん、、、、、、え?( ^ω^ )

もうあの辺り、ずっとこんな感じ。。

違和感が止まらねぇ/(^o^)\笑


(友人のトラックメンにも、
 可能なのか確認してもらったが、
 即答で「無理やな」と。

 制動距離からしても50kmは出てるらしく、
 急ハンドルで曲がってくるしかないが、
 車高も高いため、尚更無理とのこと。)


その後のシーン、
深ダンプの兄ちゃんが取り調べされてて、
めっさ嘘つくやんと思ってたら、

その後、全く出てこず。

、、、警察仕事してる?

乗用車の女性と、青柳に、
深ダンプの状況を別々で取り調べして、
一致してたら、それで終わりだと思うんだが。


女性の混乱が原因で、証拠不十分になり、
兄ちゃん不起訴に繋がった。

と、あの女性が自覚していたとしたら、

自殺に繋がる要因の一つにはなる、、?


(まぁ色々書きましたが、
 単に演出がポンコツだったのでしょう。

 乗用車の速度は、撮影の角度上、
 後ろでゆっくりだと、
 飛び出しに間に合わない、、

 かといって爆速で衝突したとなると、
 運転女性がアウトになるし、、

 まぁどうせ客は気付かないだろ、
 って安易な選択をしたのでしょう。
 
 深ダンプの方は、、、
 気付かなかったのでしょうね。

 浅はか、、。

 おかげで全てが崩れてます。)


総評としては、

確かに、演技が光るシーンも多く、

当事者が、自分のいない場で起きたことを、
正しく理解しえないまま、
(マニキュアの廃棄や、自殺未遂、etc... )
食い違ったまま終わっていくというのも、
観る側に考えさせる部分があり、

当事者のどうしようもない心情を、
うまく表現した作品だとは思いました。

とはいえ、
怒り狂うばかりで流石に見苦しく、

今作から得たものは、
特になかったかなという感じです。

テーマは素晴らしいので、
もっと深く、現実的な対話で理解し合い、
お互いを受け入れ、支え合うも、

モヤが消えない。

「どうやって、
 折り合いつければ良いんだろうな」

であれば、かなり好みだっただろうな。

と、思うに至った一作でしたb

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
溢れた小ネタのコーナー◎


後半のおっさんのセリフ、
「みんなどうやって折り合いつけるのかな」

これ実は、
吉田監督が今作を作るきっかけと、
繋がっていたそうです。

監督曰く、あるドキュメンタリー番組で、

阪神淡路大震災で夫を亡くした女性が、
クローズアップされているシーンがあり、

彼女は、海辺にある思い出の公園を、
今でも毎日散歩しているらしく、

「みなさん、
どうやって折り合いをつけているんでしょうね」

と話していたのと聞いた瞬間、
ハッとさせられたらしく、

そこから着想を得て、書き始めたとのこと。


作品の参考となった事件。

2003年に、中学3年生の少年が、
漫画を服に隠して逃げようとして、
店員に捕まったものの、
身元を話さなかったため、

通報し警察も駆けつけたが、
それでも黙秘し続けたため、
署員が任意同行することとなったが、

「自転車で来たので、
 鍵を掛けさせて欲しい」

と少年が言ったため、許可すると、
店外に出た隙をついて逃げ出し、
気づいた署員1人が追跡したが、

少年は、
踏切の遮断機が降りているにも関わらず、
くぐって逃げようとし、
そのまま電車に撥ねられ死亡した。

そしてその報道後、
「人殺し」「万引きくらい見逃せ」などの、
理不尽なクレームが、
なぜか店側に山のように届くことになり、

結果、閉店に追い込まれた。

という事件から、とのこと。


イルカの雲の絵。

添田は船から陸を見て、
娘は陸から船を見て。


タイトル『空白』の示すところは、

事務所での万引き取り調べの実態、
不在となった娘の存在、
痴漢の噂の真相、
添田の娘への無知さ、
マニキュアの色、
テレビ取材の切り取り、
登場人物らの人として欠けている点、
答えのない境遇、

など、多々あるように感じました。

作品に空白部分を作る演出は、
時に素晴らしい効果を生みますが、

今作のような、
曖昧にするばかりの空白は、
どうやら僕は嫌いだったようです。


最後仏壇に、
新品のiPhoneの箱が置いてありましたね。

この演出は、かなり好きでしたね。

どうせなら娘の墓前で、
泣いて詫びるシーンとかあれば、
もっと好きだったと思うんですけどね。

もちろん土下座で。

それを見た青柳が
「土下座なんてなぁ!誰だってでき((やめなさい
大野

大野