しんご

ゴジラのしんごのレビュー・感想・評価

ゴジラ(1954年製作の映画)
4.3
今でこそ怪獣映画の代名詞だけど、その記念碑たる1作目はゴリゴリの反戦・反核映画だった。映画という文法を借りた、文芸的な側面が強い作品。「長崎の原爆から生き残って今度はゴジラかよ」的にグチるシーンを見た時、この映画が戦後10年経ってない1954年に公開されたことにただただ驚いた。

ゴジラは「水爆による恐怖」を分かりやすく表現するためのギミックに過ぎず、メインはあくまでも人間社会のドラマであり、ゴジラも本編中実はそんなに出てこない。この人間ドラマパートは志村喬さんをはじめとする名優揃いが屋台骨なので、とにかく画面から伝わる迫力とセリフの説得力が凄い。

「子供向け番組とはいえ、子供向けの演技をする必要はない。通常の映画ドラマと同じ様に芝居をするように」は、ウルトラマンでムラマツキャップ役だった小林昭二さんが出演者に要請した際の言葉として有名だが、本作の制作陣・演者も子供に媚びない至高のドラマを作りあげている。

「あれが最後の一匹とは思えない」...ラストのメッセージが重い。
しんご

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