ルサチマ

嵐が丘のルサチマのレビュー・感想・評価

嵐が丘(1986年製作の映画)
4.8
レナート・ベルタの撮影に加えて有名な『嵐が丘』を比較的忠実に映画化したものということもあり、リヴェットにしてはかなり手堅く撮った劇映画という印象で、俳優の芝居の付け方にしても空間を使った演出が巧み。室内に設けられたビリヤード台に女優を寝そびれさせる芝居なんて、非常に官能的であり、それだけでひとつのダンスのように見える。花火の最中での空間移動なんてちょっと美しすぎるし、インサートで差し込まれる丘の上の一軒家を夜間撮影したショットもそれだけでリッチな味わいがある。とはいえそうしたウェルメイドな部分こそが、贅沢をいえば物足りなさを感じる部分でもあり、リヴェットの自由な呼吸をもっと味わいたい気持ちに誘われる。
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