シュローダー

トイ・ストーリー3のシュローダーのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー3(2010年製作の映画)
4.8
3部作の完結編として、これ以上綺麗に円環を閉じた作品が、今まであっただろうか。おもちゃと人間の関係性の物語としてもここまで突き詰めた結論を出すとは思わなかった。物語全体としては、「暴力脱獄」と「蟹工船」を足して2で割った様な幼稚園という監獄で繰り広げられるノワールとも言えるヤクザ物である。「イチゴの匂い」を漂わせながら、暗黒の世界を仕切るロッツォのキャラクター造詣も見事だったと思う。そして、クライマックスの絶望の表現。CGキャラクターの表情として、ここまで痛切なものを見せられるとは。そしてそこからラストミニッツレスキューが起こった後にこそ、この映画の本領にして、末恐ろしいまでの感動がやってくる。アンディが自身の思い出となるおもちゃを、ボニーという一人の少女に継承する。そこから浮かび上がる、おもちゃという"仕事人"の"矜持"と、一人の人間の真の意味での「幼年期の終わり」そして、家から屋根へカメラが上がり、青空と雲で終わる。勿論これは1作目のファーストショットの壁に描かれた青空と雲との対比である。完璧なラストだ。勿論号泣している。こんなに綺麗に終わったのに、何故4を作ったのか? その答えとは…? 今から観るのが楽しみでもあり、恐ろしくもある。