寿都

バルタザールどこへ行くの寿都のレビュー・感想・評価

バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)
4.6
意味不明とか眠くなると言うことはないが、なんだか要領を得ないところはある。監督の感性が貫かれている。
ロバと少女の悲しい生涯。ロバや馬なしには、文明はここまで発達しなかっただろう(アメリカ大陸では古代に馬が食べ尽くされたため、文明が起きなかった説がある)。バルタザールに、家畜に感情があるとしたら、どんな気持ちで生きていたのだろうか。ストレスや過労で死ぬことが出来る人間の方がラッキーなのだろうか。
ロバは知性が乏しいから仕方ないけど、人間であれば、幸せになろうという能動的な発想さえ持てれば、悲しい宿命から逃れるチャンスはある。透明な鎖を外す鍵さえあれば…。

ロバは人間と同様に、労働する宿命を持つ動物だ(現代ロバは知らないけど)。身体能力は高くないが、賢く穏やかでよく働く。人間に一番近い動物だね。
ロバは「鞭が嫌だから動く」という「反応」しかできない。だから奴隷にしかなれない。
しかし「人間はロバじゃないだろう」と監督が言いたいのだと私は受け取った。「反応」はロバでもできる、人間なら「思考」せよ。
バルタザールかわいそう!動物虐待!虐めたやつは殺してやる!怒りは、ただの反応。
ピアノ、ポップソング、ジャズ、曲がどれも好み。
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