寿都

孤独な場所での寿都のネタバレレビュー・内容・結末

孤独な場所で(1950年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます


アマプラ公開終了まぎわ駆け込み鑑賞

カサブランカやマルタの鷹よりさらにニヒル極まる、ヤバいボギーに大興奮した。
今作の役どころは「暴力衝動を抑えられない映画脚本家」。サスペンスベースの名作悲恋映画である。しかしコミカル&シニカル、救いも温かみもありたいへん観やすい。

「人間の二面性」そしてそれについての受容(できたりできなかったり)の物語だ。欠落のある主人公を慕う人々、の人間性の描写に注力されていておもしろい。
関係が終わってからも知的な美女たちに愛され続けていたり、彼を敬愛する軍隊時代の後輩は刑事になって性格ピカイチな奥さんをもらってたり、落ちこぼれの友達はやっぱり落ちこぼれで、アル中だけど陽気な役者のおっさん、ボコられても主人公を見捨てられないウディアレンみたいなエージェント。仲が深まる程に、裏面も見えてきてしまう。

主任警部は職務を全うするためには鬼にならねばならない、だれかを容疑者にするってことはその人や周囲の人生を破壊する可能性がある、そんな悲哀。違ってたら心から詫びる、それしか出来ない。美男俳優が皆無という点めずらしい。
そしてDV気質の男(これもまた一括りにはできない複雑性)を選んでしまうヒロイン…三度目の正直できみなら幸せになれるさ、自分を守る慎重さがあるからね
そして主人公のディクソンにとり、初めて心から愛した女を、自分の暴力衝動から失った痛手、が再生の契機になるのではないか。そんな希望を感じました。In a lonely place 孤独な場所で。

あとmark数・知名度のわりにレビュー数めちゃ多い!なぜ
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