健一

鬼畜の健一のレビュー・感想・評価

鬼畜(1978年製作の映画)
3.5
『鬼ぃー!それでも人間かあぁー!』

WOWOWで放送していたので録画して鑑賞。

第2回日本アカデミー賞
最優秀監督賞(野村 芳太郎)
最優秀主演男優賞(緒形 拳) 受賞。

鬼畜。
非道な行為。またはそれを行う人間。
印刷屋を営む 宗吉と妻の お梅。
ある日 宗吉の愛人が3人の隠し子を宗吉に押し付けて失踪。
お梅は子供達にツラく当たる日々。
宗吉は子供達をなんとかしなければと次第に追い詰められていく・・・

ついに観てしまいましたよ。
『ザ・昭和のウルトラスーパー胸糞映画』
キツイ〜、重い〜、怖い〜、やめてぇ〜。
鑑賞し終わったのが夜の9時だったのですが 何もやる気が起こらずフテ寝しました。😅

『子供はほっといても勝手に育つ。』

私の大っ嫌いな言葉です。

しかし、私が子供の頃。そう、ちょうどこの作品の一番上の男の子くらいの歳(6歳)。
この頃に私の周りの大人たちは この言葉 をよく使ってました。
父、父の飲み仲間、近所のおじさんおばさん、母の友人、毎月集金に来るヤクルトのおばさんまで。
でも、私の母は絶対にこの言葉を口にしなかった・・・
『ほっといても勝手に育つ』というのは この作品で描かれている子供たちの事を言うんです。
いいんですか? それで・・・

とにかく衝撃的な作品。
興味がある方は覚悟して見てほしい。
主人公の妻 お梅 を演じた岩下志麻さんの圧巻の怪演!
この鬼畜っぷりったら。😵
「極道の妻たち」の妻どころの騒ぎではない!
超恐ろしいスーパー鬼畜おばさん!
緒形拳には主演男優賞をあげたのに、なぜ岩下志麻さんのこの演技に主演女優賞をあげない? 信じられない。
日本映画史に残る素晴らしい演技でした。

同様に 時に情けなく、時に鬼畜な昭和のお父さんを演じた緒形拳さんは もう言うことなし!
この難しい役柄を完璧に演じ切っている。
本当に凄い役者さんだ!

衝撃作とは言え やはり『ザ・昭和』な作品なので所々 鼻に付く ところもある。
・申し訳ないが子供たちの演技は 激烈ヘタクソ。😅
まぁ、そこはご愛嬌。許してあげてください。
そう考えると十数年前の芦田愛菜ちゃんをはじめ 今の子役たちの演技って凄いなぁと改めて感じる。
・本作のジャケットを見ると3人の子供たちが悲しそうにブランコに乗っているが、一番下の子供はどうみても 1歳 になるかならないかぐらい。
ひとりでブランコにはまだ乗れないんじゃない?

若かれし頃の 大竹しのぶ さんが婦人警官役で出演しており、これがまたなんとも可愛らしい。😍
その他 脇を固めるキャスト陣もなかなか豪華です。

鑑賞後、布団の中でなんか昔の子供時代の事、色々思い出してしまいましたね。
暖かくて恐ろしい。高度成長期真っ只中の昭和の日本。

人を狂わせるもの・・・
それは、世の中なのか、家族なのか、お金なのか、
やはり『人』なのか・・・
健一

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