カールじいさんと、今は亡き奥さんの半生を描いた冒頭から、風船を付けた家が空に上がる冒頭の20分が素晴らしいけど、それ以降はイマイチ、、、と思ってしまうのは、この邦題のせい。
原題は「Up」で、「家」を意味する言葉は無いし、実際の内容は自由に空を飛ぶ家が繰り広げる冒険活劇でもない。どうにも邦題に違和感がある。
本作に於ける家は、カールじいさんにとってのかけがえの無い思い出の象徴である。目的地である「パラダイスの滝」の近くまでは、あっという間に到着するが、いくつかの風船が無くなり浮力を失った家は、逆にカールじいさんの重荷になってしまう。
そんなカールじいさんが少年ラッセルや、伝説の怪鳥ケヴィンとの出会いを通じて、人生の新たな一歩を踏み出す姿こそ本作の見所であり、メッセージが込められていると思う。
そう、Upするのは、空飛ぶ家ではなく、カールじいさんの心なのだ。