ネブュラー

道のネブュラーのレビュー・感想・評価

(1954年製作の映画)
4.3
ジュリエッタマシーナはフェリーニのリアル奥さんなのか。
純粋で、なんの取り柄もないような女性として描かれ、「自分の価値とは?」という普遍的なテーマを、野蛮な男ザンパノや大道芸人イルマットとの会話や距離感に投影させながら、ジェルソミーナの内省的な心理描写が痛々しくも描かれる。
自分の妻に、人間の抱えるコンプレックスやそこから生まれる残酷な現実を投影させる作家もいれば、伊丹十三作品の宮本信子のような人間賛歌的に喜びを描く作家もいて、面白い。人間の内省的側面を描くというフェリーニの一つの作家性なんでしょうか。

そして、映画を絵として捉えるセンスも素晴らしい監督なんだなぁ。
特に、食事シーンに関しては、文学的な趣を感じるし、キャラクターが生きる上での糧として描かれていて、物語の中で「生きている」とまざまざと感じる。

「8 1/2」「サテリコン」しか鑑賞したことないですが、空間を上手く駆使した映像的衝撃感ではなく、あくまで心理描写にスポットを当てた作りになっているんですね。
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