柏エシディシ

大人は判ってくれないの柏エシディシのレビュー・感想・評価

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)
4.0
言わずと知れたトリュフォーの長編デビュー作にてヌーヴェルヴァーグの傑作。
そんな大上段から構えずとも、リズミカルで軽快な語り口。
落ちこぼれた子供たちが大人の事情など顧みず好き勝手やる小さな冒険譚という定型のひとつになった作品と考えれば入りやすい。スピルバーグが大好きなのもよく判る。
映画半ば、人形劇に一喜一憂する幼児たちの表情を捉えた一連のカットは何度でも見返したくなる。幸せな気持ちになる。
その他にも忘れ難い宝石の様なシーンが沢山。
最後の少年の疾走を追いかけ続けるカメラと、ついに辿り着いた砂浜でふいに振り向き観客を射抜く様な瞳は特に。
あまりにも利己的で冷徹な両親の存在と行き場の無い子供たち。
60年以上経った今でも尚有効な映画モチーフである事に暗い気持ちになるけれど、「大人は判ってくれない」という子供たちの守護天使の様に本作も永遠に在り続ける。
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