ぬーたん

パンチドランク・ラブのぬーたんのレビュー・感想・評価

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)
3.8
PTA監督作品らしいけどらしくない、ぶっ飛んでいるけどキュートなラブコメ。監督の作品は結構観てるけど、私はこれが今のところ一番好きかも?
主演はアダム・サンドラー。コメディアンとしてはアメリカで大人気のようだけど『靴職人と魔法のミシン』『再会の街で』など割とシリアス路線の映画の方が印象に残っている。ていうかあまり他は観てないのかな。
今作はバリー・イーガン役で仕事からして変わっている。というか何を売ってるのかよく分からん。謎の棒みたいなの?何だろうあれは。説明しながら壊れるし、売れるわけないだろうけど。
オープニング。一生懸命にセールスの電話をしてるのかと思ったら、マイルが貯まるお菓子の問い合わせ。その後の倉庫から出て通りを眺めてるところからの信じられない光景。あっけに取られる。カメラも景色もアダムの表情も完璧!
そしてやたら掛かって来る電話の相手は、姉たち。なんと7人も居る姉。恐ろしい。その中のエリザベスにメアリー・リン・ライスカブ。この顔にピンと来たら110番!『24』のクロエですから。ジャック・バウアーもタジタジのクロちゃんでーす!今作の姉も恐ろしいっす。
その同僚リアにエミリー・ワトソン。綺麗だけど年の割に皺が多め。アダムに負けないくらいの長身で存在感ある。最近ではドラマ『チェルノブイリ』でかっこ良い役、威厳があった。どちらかというと真面目で幸薄いイメージの役だが、今回はバリー同様、かなり変わった女性で、細かいことは気にしないワカチコワカチコ♫タイプ。天然っぽさがまた似合ってる。
そして怪しい男、というか詐欺師をフィリップ・シーモア・ホフマン。ぴったり過ぎる役。アダムとのにらみ合いは無言の時間が長くて吹き出しそうになったわ。今も生きていたら…と思ってしまうのは彼とロビン・ウィリアムズ。2人とも幅広い役が出来た俳優だったなあ、と。
バリーと一緒に仕事しているランスにルイス・ガスマン。プエルトリコ出身、忘れられないゴリラ顔で飄々とした演技も面白い。悪役の手下、みたいな役が多いが、今作ではコメディっぽいとぼけた演技が上手かった。
アダルト電話やプリン大量買い、バリーは病的な情緒不安定で暴力的。ガラスをぶち壊すわ、トイレ壊すわ。もう警察沙汰になってもおかしくないよ。しかし、ぶっ飛んでるのは確かだけど、何だかこのバリーが可愛く感じて来る。やってることはしょーもないけど、子供みたいに純真で正義感があるのだ。
カメラが良いね。2人のシルエットのシーンとか、部屋を探し回るシーンとか。
音楽の使い方も良かった。
終わって観れば、これは好き!と思える作品だった。
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