吉田ジャスティスカツヲ

ウォンテッドの吉田ジャスティスカツヲのレビュー・感想・評価

ウォンテッド(2008年製作の映画)
4.9
・社会人になってから、私が父に口煩く言われた言葉【転職するならばその前によく考えなさい】
転職というと言葉の響きは良いですが、残念ながら日本の場合は、一部の特別有能な人間以外は大抵、転がり落ちるような職業変更ばかりというのが実情でしょう。
新卒以外でまともな職場に就けないよと、もっと幼い頃から伝えておけばよかったと父は言いますが、学校の先生の多くは「何度でもやり直せばいい」などと、無責任発言をすり込むからタチが悪い。
加えて申し上げるなら吉田自身は転職2回でして、過去より今のほうが充実しています。

・社会人になってから、保険業を営む兄貴に口煩く言われた言葉…4大疾病に気をつけて。
がん、急性心筋梗塞、脳卒中は成人男性のおよそ5割の確率でかかるとされてる病気で、早期の発見と普段の生活習慣が大事だそうで。
【最後のひとつが厨二病】です。
気が付いた時には拗らせている、早期の発見が非常に難しい病気です。
コレには保険もきかず、現代医学では治療法もありません。


本作は主人公が【転職先を間違え、心に秘めた厨二病が大爆発🤯して大変なことになるという】人生において貴重な教訓を得られるアクション映画でしたよ。

主人公のヘタレ男は、絶世の美女アンジーさんに乗せられて、よりにもよって暗殺者にジョブチェンジしてしまいました。
そこから先は聞くも涙、語るは笑える物語…


常識外れのとんでもない訓練をやらされ、ピストルの弾道を意図して曲げるなど、一人前の暗殺者に必要なスキルを身につけさせられます。

【そんなスキル一生身につかねえよ💢と言いたくなる】がそこはそれ。
弾道曲げの解説の場面も見どころですな。

車をまるで自転車のように自在にスピン、ジャンプさせるチェイスシーンも【作り手の厨二パワーの豊かさ】に感心してしまう出来ばえ。
跳ぶわはねるわの変幻自在なドライビングテクニックに、私としても【練習が足りないだけで、もしかしたら出来るかもしれないと思う】ともう誰も私を止めてくれない。


本作特に好きな設定は、この老舗暗殺商店の社員たちがトレーニング後に【疲れやキズを癒す風呂】の存在です。

ここのトレーニングは実践重視なので、たとえばナイフ格闘の授業なんかだと教官が普通にこちらを刺してきます🗡

当然新人は傷だらけってか死亡寸前の大けがをするわけなのですが、この風呂に入ると奇麗さっぱり傷が治る…まさに現代医学を超えたベホマズン風呂です。

【おまけに混浴なので】タイミングが合えば同僚のアンジェリーナジョリーのおしりの割れ目などを拝むことも出来ます。
職場は違えど、思わず仕事帰りに寄りたくなってしまう魅力に満ちていますね。



何より本作には【厨二病映画としての極みが二つも詰まっています。】
・ひとつ厨二病映画とは【バカバカしさを突き抜けたカッコ良さ】です。

それは例えば、敵の曲がる銃弾を防ぐためにコチラも弾を曲げ撃ち落とす…
突如、右手に何か宿した超能力者であり…
天使と悪魔を敵に回したエクソシストであり…
ドリフトする戦艦であります。

大のオトナが人に説明するのにこっぱずかしさを伴うお話のこと。
今作の作り手側の意気込みも、変に躊躇してブレーキを踏むからオカシサが浮き彫りになってしまうからアクセルベタ踏みなアカギ精神でお送りしております。


・もうひとつ厨二病映画とは【簡単に言えば闇を抱えている】ことです。

主人公がクズ、下衆、落ちこぼれ、トラウマ持ち、哀しき宿命を背負いし者、とにかく闇を抱えてそれでも慎ましく生きています。
【そんな奴がクライマックスで飛び跳ねてこそ】厨二の共感が得れるのです。

この映画で言えばウェスリーは会社では落ちこぼれで毎日上司にいびられ、同僚に彼女を寝取られ、パニ障持ち、おまけにネガティブでヘタレです。
こいつが凄腕の暗殺者になるからこそオオ!となるカタルシスなのです。




私は結構に好きな映画なのですが、残念ながら世間的な評価がよろしくない本作。

暴力描写ゆえの年齢制限により、何よりいちばん観て欲しい中学2年生男子には観てもらえない。
大人たちには上記の理由では鼻白まれる。
日本人観客としては【間違えて吹き替え版で観てしまう】なぞの減点要素があるのですが…


ま、バカバカしいけど突き抜けたバカらしさが凄くバカッコいいので未見の人は是非観てみて下さい。
覚醒、残響、宿命、操り人形、生殺与奪権、などの言葉にビクンと反応してしまう人は特に観て下さい。

あと、強く生きてください。