こたつむり

アメリカン・ビューティーのこたつむりのレビュー・感想・評価

アメリカン・ビューティー(1999年製作の映画)
3.8
【注意!】
本感想には食事時に相応しくない表現が混じっています。

綺麗なものの中にある汚いものの中にある綺麗なものを撮ったような作品。
喩えるならば、バラ園の中心にあるネコのう×ちの中にある小さな宝石。

最初は全体を把握できるように俯瞰から撮影し、最後は臭気が漂うほどまでに近づいていく…そんな作品であります。なので、最初から気持ち悪い雰囲気は漂っていて、それを受け入れることが出来るかどうか。それで評価は変わるかもしれません。

そして、僕は…その最後に映った宝石の煌めきに…感動したのです。
だけれども、それまでに延々と映し出されていたのは、ネコのう×ちだったわけで。
まるで、う×ちに感動してしまったような錯覚に陥ったのが複雑な気持ちではありましたが。

でも、考えてみると感動とはそういうものなのかもしれないとも思うのです。掃き溜めに鶴、ということわざではありませんが、目を逸らしたくなるような世界の中に、きらりと。光を反射する何かが、心をざわつかせるのではないでしょうか。
そして、僕らを感動させてくれるものは。
身体に吸収されることなく。
ただ呑み込んでも排泄されるだけで。
そう、金箔入りの料理を食べても何も変わらないように。
だけど、それでも僕らは感動することを望み、欲し、日々を重ねていくのですね。

なんて、延々とネコのう×ちが映っているかのような映画で深く考えてしまったのでありました。きっとそれは本作が『観る人によって大きく印象が変わる映画らしい映画』だからでありましょう。

20代、30代、40代、50代。
独身か既婚か。
子供がいるか、いないか。
ちなみに僕の初見時のスペックは20代独身でありました。そのときも面白いと思いましたが、大きく心に残る映画ではありませんでした。しかし、40代子持ちのスペックになった今、再鑑賞したら。何やらよく判らない感動をしてしまったのです。

なので、一度鑑賞した方も。
自分の立ち位置が変わっているのならば、再鑑賞してみても良いかもしれませんね。
そして、初見の方は是非とも。
ケヴィン・スペイシーの怪演は一見の価値ありですぞ。
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