DVDの説明書きには、”ある家庭が崩壊していく様をシニカルに描いた傑作ドラマ!”とあるが(この方が説明しやすいんだけどね)、正しくは既に崩壊している家庭の中で、お父さんが如何にして人間らしさを取り戻していくかを描くドラマだと思う。
ラストがあれだから、結局は崩壊するんだけどね。
十代の娘の友達と寝たいがために筋トレにいそしんだり、マリファナでハイになったりと、普通に見たら、完全にアカンおっさんなケヴィン・スペイシー。
しかし、段々とおっさんは美しく輝くんですねぇこれが(スペイシーのおでこがじゃないですよ)
人間誰しも世間体を気にしたりとか平穏な生活を保とうとすると段々とそのしがらみに縛られていくように思う。
それで心に余裕が無くなっていき、周りの家族も含めて閉塞感に陥っていく訳だが、主人公は十代の子との恋愛や大麻がきっかけとなって、やっと自分の中に余裕を持つことができた。
そして、心にやっと余裕を持ち、久しぶりに他人に対して優しく接するようになったスペイシーは慈愛に満ちた本当に穏やかな表情をしている。
オスカーを獲得しただけあって、スペイシーの演技は素晴らしく、細かい仕草や表情の変化からは、相当ジャック・レモンの影響を受けていることがわかる。