まりぃくりすてぃ

小さな泥棒のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

小さな泥棒(1988年製作の映画)
4.9
秒でキマった、冒頭からの秀作性。そしてラストまで、映画本編には悪いところ一つもない。世界中の知的な人々がフランス映画に求める “洗練” がすべてここに詰まってる。

甘ピュアで、鼻キュウリが薄幸そうで、今にも万引きをやっちゃいそうな身近なカワイさとお尻の大きさのある主演女優(ジャニーヌ役のシャルロット・ゲンズブール)のほか、、、、
彼氏ラウール役のシモン・ド・ラ・ブロスかっこよくて美しかった♪
女囚仲間の彼氏レイモン役(Erick Deshurs?)も美だった。
不倫彼氏ミシェル役のディディェ・ブザスは、鼻がおでんのコンニャクみたいな三角形だったけど、受けの演技とかすばらしく、映画前半を見事にアシストしてた。
金持ち奥様役クロチルド・ドゥ・ベイセルの無敵フレンドリーなキレイさ。
ほか、懐深い伯父、ヒステリックな伯母、牛飼いばばぁ、堕胎ばばぁ、神父、女囚たち、野ウサギ(☜動物だけど)、、 主演をはじめすべての出演者が、「その年齢で、その役をやるために、生まれてきた」と言い切ってあげられるぐらいに、演技からフンイキ存在感まで全部カンペキだった。

映画愛も、押しつけがましくない程度に散りばめられてた。アイリスイン&アウトなんかは、別の現代映画で使われたら気取りすぎになるだろうけど、本作ではステキさの一匙(さじ)加えに。

たった一つの難点が、題名かも。
見てる間ずっと私は「『小さな泥棒 La petite voleuse 』って題は傲慢じゃない? 小柄じゃないヒロイン、図太いし。この内容なら『泥棒日記 Journal d'une voleuse』でしょ。『Journal du voleur』を書いたジャン・ジュネさんに許可もらえばよかったのに」みたいなことを思ってた。(☜フランス語については知ったかぶり。)
最後の「出発よ……」のジャニーヌの一言の後、テロップを読まされて、「あー、小さな泥棒っていうのは彼女じゃなく、彼女の○○○のことだったんだ?」と理解しかけた。けど、彼女の○○○が、いったい何を盗んだ? 何も???
やっぱり、題が不適切かな。。

冒頭の少年合唱団アカペラ(Dans La Troupe)や途中の教会堂での賛美歌(Sur Les Monts & Carpe Diem)、それにXmasミュージカル風の軽快曲(En Chantant Hei Di Ho)なんかが耳を洗ってくれてる感じに耳福だったから、冬キュンな映画だった。
だから12月にお薦め!