まさに人生どん底とも言える状態で、精神的にギリギリだったアランが、サウジアラビアという全く異文化との出会いで人生の可能性に気づき、かつての自分を取り戻す物語。
こうやって書くとシンプルなサクセスストーリーに見えるけれど、実際はそうでもない。
ワールドワイドなビジネスシーンで、かつてのアメリカンドリームのような絵に描いた成功は起きない。
突破口を見出せないアランの前に、一発逆転のカードを差し出してくれる絶世の美女は現れない。
それでも、異国の地で様々な人と出会う中、元々有能な男だったアランはちょっとずつちょっとずつ、商談の瞬間まで突き進んでいく。
人との出会いとそれが生む化学反応。
物事への飽くなき情熱と没頭。
そういう一件地味にすら見えるものに取り組み続けた人にだけ、成功を掴む「チャンス」を得ることはできる。そしてそこに年齢は関係ない。
一方、シナリオ自体はしみじみとくるシーンや随所の笑いはあるものの、抑揚が少なめ。
主演のトム・ハンクスがストーリーの手綱を握ってくれたからこそ最後まで観れた作品という、ちょっぴり残念な印象も残ってしまった。
それでも、フッと気持ちが明るくなるようなコメディや異国の風景、そしてリアリティのある勇気を与えてくれるドラマでした。