こぅ

密告のこぅのレビュー・感想・評価

密告(1943年製作の映画)
4.1
アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督製作2作目で、
【フィルム・ノワール】。

ある小さな村でペンネーム[鴉]と名乗る人物から
ジェルマン医師を 誹謗中傷 する怪文書がばら撒か
れる。看護師のマリーに容疑がかかり、逮捕される
が…。

手紙を扱う映画は数あれど、中でも本作は【異色サス
ペンス】と言って良いだろう。
・人物じゃなく単なる【手紙】が人々を混乱、操作、
脅やかす。
・この手のジャンルで直接的◯◯が98%起こらない。
話が地味で、あまり展開せずは難だが、
それでも恐怖(疑心暗鬼)、面白いって、、

何故ならば、テーマが【普遍的】だ。
もし自分の身近で、例えデマでも誰か一個人の何らか
のウワサが出回ったと仮定したら、、
周囲の人物には 疑いの連鎖 が始まるだろう。
そのリアルにあり得る思い込み、集団心理の恐怖が
興味を唆る。

しかも本作はその 拡大バージョン と言える。
複数人に【2ヶ月で850通】もの手紙によって、
小さな集落は混乱して、、。

現代で言えばメディアのフェイク情報に当たる。

マリーが民衆に追い詰められるシークエンスは恐い。

撮影は、構図や編集、陰影(階段の影、電球の揺れ)
を強く意識していて【惚れ惚れ】する。

終盤は、ヴォルゼ医師による説得力ある犯人像の
プロファイル〜容疑者招集【筆跡テスト】へ。

クライマックスは、二転三転するも少々スマートさに
欠ける(口説い)印象は否めない。

そしてカールは、真犯人の元へ駆け出すが、、
この時代から◯◯な人物が犯人(大ミスリード)って
のをやっていたんだな。


アンリ監督らしい【毒】のあるラストにニヤリ。

加点。


*鑑賞後、S・キングの【ニードフル・シングス】
への影響⁈を想起した。
こぅ

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