しゃび

南極料理人のしゃびのレビュー・感想・評価

南極料理人(2009年製作の映画)
4.0
「ぼくは南極なぞ行ったのだろうか?」

日常と非日常。
非日常も慣れれば日常になるし、
日常も離れていれば非日常になる。

日常と非日常が入れ替わって、また戻る。
戻った毎日に慣れると、元々入れ替わった事実なんてなかったのではないか、と感じる。

「照り焼きバーガーがうまっ!」

非日常の肌感覚は失われても、真実は体に刻み込まれている。

慣れきっているけれど、大切な日常がある。その気持ちだけは常に抱いていたい。


沖田修一監督は日常を切り取るのが上手だ。けど、決して適切な描き方をする人ではないと思う。

まず、カットが長い。
こっちは10秒くらいの肌感覚で見てるのに、30秒くらいやる。1分だと思ったら3分やる。

掴みが大切だと言われる。
でも沖田監督はいちいち掴みが退屈だ。

また、切り取り方も父性に偏っている。
もうこの映画に至っては、クローズくらいに男目線の映画だ。


人を描こうとすれば偏りが起きる。
公平な描き方をしていそうな映画は大抵、人ではなく社会を描いている。

ぼくは人の映画が好きだ。
しゃび

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