喜連川風連

座頭市の喜連川風連のレビュー・感想・評価

座頭市(2003年製作の映画)
1.5
メクラの方が人の気持ちがわかんだよ、といってカッと目を見開き、相手を叩き切る。(悪党に気持ちを寄せるつもりはない)

ふんどし一丁で走り回る足軽も面白い。戦国時代も終わり、戦うことが無意味になっていることを暗示している。

絵はカッコいいが、美術・照明・音声・効果音・編集が絶望的で寒気がした。日本の時代劇をダメにしているのは、安っぽいゲームのような効果音ではないか?

何かを投げた時の音、刺した時のグチュ音もバラエティ番組のようで安い。絵が凛としてカッコいいのに、興ざめだ。

編集も黒い画面で暗転するなら、そのまま黒い画面で繋げて欲しい。スローもいらない。

浅野忠信への演出も、喋り方・声の発生の仕方から、現代人の間の置き方だった。

旧大映や東映のような重厚感は出せないのだろうか?セリフを発する重さがまるでない。脇の人物の表情も説明的。人が切られて、これ見よがしに驚いた表情しないでもいいのでは?

刀を投げたり、返り血を浴びなかったり、スタイリッシュに全振りしている。

夜も江戸時代の街であれほど明るいのは不自然極まりない。行灯無しで、出歩くのは当時としてはあり得ない。

本来ならば、前も見えないような暗さだ。手を抜いたとしか思えない。火で照らす描写もほとんど出てこない。電気で暮らす現代人の想像力の限界か。月明かりにしても明るすぎる。こう毎日満月が続くものではない。

本当に時代考証したのだろうか?軽薄な平成の時代を象徴するような座頭市。その中でも、ガダルカナルタカがシュールな賑やかしで映像にリズムを与えている。ドリフ的昭和の笑いが入っていて、これが北野武らしさか?だが、音楽のチープさがどうしても許さない。

最後、なぜか軽薄なマツケンサンバを見せつけられた。
スシローのCMでもやるつもりか?時代劇も落ちたもんだ。表情が紅白歌合戦のバックダンサーそのもので、さば定食を頼んだら、パンケーキが出てきた気分に陥った。
喜連川風連

喜連川風連