矢吹

レネットとミラベル/四つの冒険の矢吹のレビュー・感想・評価

4.2
同じキャラクターで短編4本の時間の経過のギャップの想像で埋める地の部分がめちゃくちゃ楽しい。いいなこれ。
2人の関係の変化の細かいやりとりの差と生まれるエピソードの豊かさよ。
3本目まで見てて、ザシネマで。配信期間過ぎちゃって、途方に暮れてたところ、Amazonさんで配信始まったじゃん!ということで、さっき四本目見ました。ありがとうアマプラ。

①青い時間、
自然が止まる瞬間、地球が眠る1分間、2人の出会いのパンクチャリ、ああやって直すのね。
あの時車が通ってなかったら、あり得なかった2日目の巡り合わせて、2人暮らし。
静寂と2人の距離感、絶妙に見えない表情がめちゃくちゃ怖くて、生気がなくて、地球が終わる時ってものを理解しかけたけど、わかっただけじゃダメ。体験してみないと、ということさ。
青い時間の冒険。

②カフェのボーイ
1日アルバイトの男、怖すぎる。
口論に発展する男たち。コミュニケーションの不全と言い争い。
逃げても返しにいく際の道化顔のエピソードがめちゃくちゃよかったっすよ。諦念と若さの融合と真っ直ぐな募金活動に近いもの。
逃げるが家畜。
冒険はカフェ探し?

③誰にでもするならいいんだけどって話し、
とレジのエピソード。
監視員を見張る冒険と窃盗と病気と正義と優しさ。
田舎育ちの彼女の不誠実を許さない態度は、都会の中で目立ってしまう。人との関わりの距離感と自分の正義の挟み方。
スリルが欲しかったにしてはなかなかな気もするけど、駅のシーンはめちゃくちゃ面白い。
バランス取るのはみんなの心!

④一番好きだよこれ、4本目。さっき見たからかもだけど。結局、オチが最高。
沈黙は金で金。とはいいますね。
絵画に言葉は要らないけど、絵画を金にするには言葉は金になる。
沈黙の使い方。
隠蔽、嘘、こそ、金であったという。
質問に質問で返すときは、図星らしいですよ。
一つのナイショを沈黙にするための、口から出まかせこそが、金なのだ。
いやあー、面白い。
映画も言葉は要らないと思うか。と言われたら、絶対にいると思います。映画は光と音の持ち物だから。しかし、べらべら価値を規定する批評は別に要らないんだよね。
感動を共有するための言葉だけで、言葉の価値は十分あるのだ。
ルールを守る感じも、田舎育ちの彼女らしいし、サポートするのも都会の彼女らしくて、良いなあ。そもそもの絵の才能がどうこうも最高だったね。よっしゃ。エリックローメルすご。
矢吹

矢吹