砂場

セーラー服と機関銃の砂場のレビュー・感想・評価

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)
4.3
公開時に見てから、たまに見返してみるとどんどん妙な味が出てくる本作。こっちが学生の時は薬師丸ひろ子カワイイ!というだけであったが、おっさんになって見ると組織のリーダーとしての星泉の力量に感服することも多い。
何よりも部下を思い、徹底的に現場に出て行き、自分の責任で判断する。こんなリーダーはなかなか現実にはいない。
なのでそのリーダーっぷりに次第に尊敬の目を向ける佐久間(渡瀬恒彦)や目高組の構成員たちの姿には納得させられる。これはナウシカにも通じるものがあるが、誰からも尊敬されるリーダー像だ。
ストーリーの構成自体は粗っぽく、やたらご都合主義なのであるがこのリーダー像の納得感がしっかりしているために映画として背骨が一本通っている。

相米慎二については、彼の作家性が全開しててよくこれでOK出たなという異次元の作りである。
何よりも冒頭で薬師丸ひろ子の顔に遮断機のバーがかかっておりアイドル映画なのに顔が見えないのである。超ロングショットについてもそうだ。
アイドル映画における相米慎二の個性は相性がいいのか悪いのか?という問題については、意外に相性がいいのではないかと思っている。
まず長回しはアイドルをじっくり見せることに向いているし、長回しの中で微妙に変化するアイドルのルックを見ることができる。ラストで黒木(柄本明)が死亡したシーンでは長回しの中で時系列を変化させるというテオアンゲロプロス風な工夫もアップテンポな感じを上手く出している。
超ロングショットとか、顔が隠れるような変な構図については逆にもっと見せてくれ〜という観客の欲望を喚起する効果があるのではないか。

カ・イ・カ・ンの場面はもちろん、バイク疾走シーン、屋上での解散会、渡瀬恒彦とのキスシーンなど名場面は数多い。
最後にスクリーンに出る赤いマル!に薬師丸ひろ子の意気込みを感じる。
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