地球上の暴力的闘争の即時中止を勧告する為、宇宙からロボットのゴートを引き連れてワシントンにやってきたクラトゥ。
彼は暴力には否定的だが、会見に応じない合衆国大統領に対し力を示す為に地球を30分間停止させる。
しかし、地球人はクラトゥを危険視し射殺してしまい…。
ロバート・ワイズ監督が手掛けた古典SF。
こんなに大昔に「宇宙人=怪物(タコみたいなやつとか)」という発想ではなく、ちゃんとメッセージ性を持たせたSF作品が作られていたんですね。
精神は初代ゴジラと通じるものがあります。
内容は、異星人が地球に来て、何かを伝えに来たという話。
結局のところ、ホントにただそれだけの話。
大がかりな話の割には予算が少ないことがよくわかる。
異星人が見た目が地球人と同じで、英語を自在に操るイギリス紳士風だったりするのが妙に可笑しい。
フランスとかソビエトの反応なども入れながら、全体の迫力は上手に出ていると思います。
円盤も、なんかサーカスのテントばりにちんけなんだけど、丁寧に合成されているし、飛来しながら着地ポイントを物色してるところの飛行速度とその効果音がすごく丁寧にマッチしていて、その音のアナログな質感と映像の丁寧なあわせ具合が心地よいな~、と、ここも感心した。
そして、SF映画としては珍しく人間ドラマもしっかりと描かれている。
特に観ている者に人間に対して嫌悪感を持たせ、クラトゥに感情移入させた上で、メッセージを伝える流れが良い。
ただ、シナリオがスカスカなのか、異星人が伝えたかった「何か」に牽引力が全然ないからか、展開がかったるい印象は否めません。
まぁ作られた時代を考えると、当時としては斬新な発想を誉めるべきだろう。
冷戦や侵略をやめましょうと訴えるメッセージを人間社会にとけ込んだ宇宙人が伝えようとする。
知的な宇宙人ならやりそうな事とも考えられる。
まぁ基本、SFマニア向けの作品です。
SF映画の歴史には残る作品ですから、最近リメイクされたことからも海の向こうでの評価は高いようです。