ほーりー

チャイナタウンのほーりーのレビュー・感想・評価

チャイナタウン(1974年製作の映画)
4.1
サンフランシスコのチャイナタウンのヤ・ム・チャ!

ギリギリ世代的に「チャイナタウン」と聞くと所さんのCMを思い出してしまうのだが(元歌は渡辺はま子とさらに古いでっせ)、本編においてチャイナタウンが出てくるのはラスト数分であるという不思議な作品である。

ロマン・ポランスキー監督のハードボイルド探偵映画「チャイナタウン」。主演はジャック・ニコルソン、フェイ・ダナウェイ、そして事件の最重要人物をジョン・ヒューストン監督が演じている。

私の中で作品に出たがりな監督の番付がありまして(チャップリン、ウディ・アレン、イーストウッド、北野武といった人はのぞく)、その中身は……

前頭筆頭がタランティーノ、小結がジュールス・ダッシン、ロマン・ポランスキー、スコセッシ、大関がオットー・プレミンジャー、ジョン・ヒューストンである。

え?横綱は誰だって?そりゃヒッチコック先生でしょ~。

ちなみに本作はポランスキー監督自身もチンピラ役で出演しており、ニコルソンの鼻を切り裂くなど印象的。

1930年代のロサンゼルス。日照りが続き水不足が問題になる中、元警官の探偵ギデス(ニコルソン)はある婦人から夫の浮気調査を依頼される。

その夫は水不足対策のダム建設に反対する水道局局長だった。早速、素行調査したところある若い女と密会している現場を押さえるのだが、後日、二人の密会の証拠写真がマスコミに流出する。

写真は夫人に渡したはずなのに何故?疑問に思う中、本物の局長夫人(ダナウェイ)がギデスの事務所を訪ねてくる。

ギデスは局長の反対勢力にまんまと利用された訳である。ギデスは事件の真相を探ろうとするが、時すでに遅し。町外れの水路から局長の死体が発見される。

事件の首謀者であるジョン・ヒューストンは巨魁という言葉がまさにピッタリ。

ニコルソンが「教えてくれ?今でも十分財産があるのに、何故それ以上富を欲しがるんだ?」と聞かれて、あっさりと「未来のためだ」と言っちゃうのも凄い。

内容はかなりドロドロはしているものの、筋の運び方が上手く、ラストまでぐいぐい引き込まれた。

事件の背景には確かに水道の利権問題が絡んでいるのだが、本作はさらにもう一捻り加えている。

終盤のフェイ・ダナウェイの告白にはその内容に衝撃を受けた。真相を告白したダナウェイの表情なんかとっても良かったなぁ。

ただこの一捻りが映画をかなり暗くさせているのも事実で、あのラストシーンは好き嫌いがはっきりと別れるかもしれない。

私はこれもありだとは思う。あのラストの「忘れろ、ここはチャイナタウンだ」という台詞がいつまでも心に突き刺さる。

あと冒頭、バート・ヤングが浮気された漁師役で登場する。あれ?これだけの登場かしらと思いきや、後半忘れかけた頃に再登場して意外な活躍をするのが面白い。

■映画 DATA==========================
監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロバート・タウン
製作:ロバート・エヴァンス
音楽:ジョン・A・アロンゾ
撮影:サム・オスティーン
公開:1974年6月20日(米)/1975年4月12日(日)
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