ほーりー

男の争いのほーりーのレビュー・感想・評価

男の争い(1955年製作の映画)
4.7
大傑作なのに、TSUTAYAにレンタルされてない、テレビで放映されてない、ネットで配信されてないという理由で、全く日の目を見ない作品というは結構ある。

この映画「男の争い」もそんな一本。随分昔に紀伊國屋書店からDVDが発売されたが、今やプレミアがついて、中古でも一万円以上もする。

赤狩りでハリウッドを追われたジュールス・ダッシン監督がフランスで撮った第一級品のフィルム・ノワール。

久々にシャバに舞い戻った老ギャングが、昔の仲間を集って警戒厳重な宝石店を襲撃し、まんまと二億フランの宝石を手にする。
が、仲間の一人のミスから、敵対するギャングたちに嗅ぎ付けられ、宝石をめぐっての男たちの壮絶な抗争がはじまる…。

似たようなフランス産犯罪映画で、ジャン・ギャバン主演「現金(ゲンナマ)に手を出すな」という有名な作品がある。文字通り金塊をめぐってのギャングの抗争を描いた作品だが、桁違いに「男の争い」の方が面白い。

先ず「現金に~」と違って、ちゃんと宝石強奪の場面を描いている。しかもその間、30分近くも全くセリフがないのだ!ちょっとこれほどまで緊迫感のある演出は他にしりません。

その強奪方法も面白い。最新鋭の警報器を如何に解除するのか、これがまたシンプルなんだけどまさにアッと驚くような方法である。

また、主役の老ギャングを演じたジャン・セルヴェがとにかく渋い。眼光鋭くちょっと近寄りがたい風貌だが、仁義を重んじる昔かたぎのギャングを魅力的に演じている。

ちなみに劇中、金庫破りの名人というイタリア人が登場する。
後半のストーリーのキーパーソンになるキャラなのだが、演じているのは監督のジュールス・ダッシン。役者経験のある人だけあってこちらも名演!