しゅん

踊子のしゅんのレビュー・感想・評価

踊子(1957年製作の映画)
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冒頭、家々と大きな寺と白い洗濯ものを映す遠景の横移動ショット、そこから室内のバイオリンケース、剥かれたみかんなどを映して淡島千景と船越英二の生活に入っていく流れに謎の強烈さがある。

『母のおもかげ』と本作を観る限り、後期の清水宏は映像と音楽が図式化した感情(「女の受難」「男と女の哀愁」「みなしごの孤独」みたいなやつです)の心理描写によりすぎている感じが苦手らしく、今作でも淡島千景の泣きが多すぎた。涙顔へ3段階でアップになっていく編集はなんなんだろう。ラストショットの子供に囲まれて野外で鍵盤を弾く(京マチ子に気づかない)船越英二の良さを考えると、得意な題材ってやっぱりあるのかなというか、「子供映画の清水宏」って看板は実像を裏切ってないのかなと思う。

雨に濡れる二人の足元を映すところはなんかよいと思った。屋上への上昇運動と相反するからかな。京マチ子、映画によって顔だけじゃなくて声も変わってる気がする。
「可哀そうな千恵ちゃん」のセリフは良かったな。
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