観よう観ようと思ってずっと見てなかったやつ。『EUREKA』と対比をなすような、素早すぎるカット割りの多さが一番印象に残っている。そこに、浅野忠信が川に下りてゆく場面、浅野忠信と宮崎あおいが夜中に会話する場面、浅野忠信と高良健吾が対峙する場面などの長いワンカットが挿入される。こう書くと、長回しはすべて浅野忠信を映していると気づく。
この前『枯木灘』を読んだばかりなので、結末は「まんま中上健次やん！」と思う。違いは、父の力ではなく母の力に縛られていること。「家」の力は母からやってきて、そこから逃れれられない人物を浅野忠信が演じる。本作の脚本がユニークなのは、母が守ろうとする家が、新しい父によって「はみ出し者たちのシェルター」としての「家」に修正されている点だろう。本作における「家」は二重化されている。その二重化が、陰惨な物語であるはずの本作に、ユーモアの気配を与えている。
最後、イキリまくっていたオダギリジョーがおびえきる場面で、膝枕させる宮崎あおいは女神役すぎる。その前の、宮崎あおいの足首をにぎるオダギリジョーと、斜め後ろに向けて視線を冷たく向ける宮崎あおいのアップが聞いている場面ではあるが。
