しゅん

オッペンハイマーのしゅんのレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
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トリニティ核実験時の時間差の振動が、その後にオッペンハイマーの心理内音響として度々使用される。スピーチ時の観客の愛国的高揚。雄叫びと足踏みが、爆発と重なる。
静寂からの轟音。そのダイナミズムが、本作の二つの時間設定に反響する。国民的英雄が、時間差で国家から追い詰められる。静寂から轟音の衝撃は、オッペンハイマーに何度もやってくる過去からの復讐として感知される。

『TENET』はサフディ兄弟の映画(『グッド・タイム』『アンカット・ダイヤモンド』)と、音と映像の組み合わせ、および無力感と徒労感の表現において共振していると思うのだが、エドワード・テラー役ベニー•サフディの野心と無力感と怒りと無関心が全て混じっているような演技を見て、その想いを強くした。
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