Kuuta

オズの魔法使のKuutaのレビュー・感想・評価

オズの魔法使(1939年製作の映画)
4.3
トトかわいすぎワロタ

この歴史的名作をカラーリングが似ているという理由でミッドサマーから連想したのはなんか申し訳なくなるが、ライオンのマントとか、エメラルドの都の手前に広がる一面のポピーとか、やっぱそれっぽかった。今度ジュディ・ガーランドの映画もあるし、ミッドサマーの悪夢を振り払うためにも再見すべきタイミングだったなと。

「風と共に去りぬ」のヴィクター・フレミング監督。ミュージカル形式だが、テンポが凄まじいので中弛みせずにエンディングまでなだれ込む。

正直ジュディ・ガーランドはそこまでいいとは思わなかったけど、周りの大人の包容力ある演技が彼女を支えている。子供騙しではない、子供のためのファンタジー。

セピア色の現実から、当時としては珍しいカラーのオズの世界へ飛び込む。これ見よがしなまでのカラフルな絵作りがドラッギーでもある。

特に最初のマンチキンのシーンは圧巻。120人超の小人症の役者がカラフルに歌い踊ってドロシーを歓迎する。今じゃ実現不可能なんじゃないかな。

トトが多くのシーンでドロシーに合わせた動きを見せており、凄いお利口だなーと思っていたが、ブリキ男が頭から煙出した所でビビって逃げたのが最高だった。ビビるよね。かわいい。

尻尾をにぎにぎして泣くライオン。さっとハンカチで涙を拭いてあげるドロシー。キャラ描写に無駄がない。ライオンの見た目はCATSより良い感じだった。

一番最初に出てくる占い師は、典型的な「当てはまりそうな回答を列挙する」方法でドロシーの心を掴む。水晶も何も見えていないに違いない。だが、大事なのは実態が何かではなく、現実をどう捉えるか。心も脳みそも勇気も同じ事。後半に出てくる西の魔女の水晶には本当に映像が映っており、占い師の嘘が本当になっている。

だから最後にセピア色の現実に帰っても、オズでの体験を心に持っていれば大丈夫だと思える。筋書きとしてあまりに王道かつ真っ当。面白かった。85点。
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