現在も紛争が続くイスラエルとパレスチナの惨状を、一人の子どものいのちを通して見つめたドキュメンタリー。
監督はパレスチナのガザ地区の現状を自国に伝え続けている、イスラエル人ジャーナリスト。
舞台はイスラエルとパレスチナをつなぐ唯一の架け橋であるテル・アビブ郊外の病院。
骨髄移植を必要とするパレスチナの赤ん坊に、テレビを通じて寄付を募ることを思いついたイスラエル人医師が、この監督に協力を依頼したことから始まる。
途中、監督と赤ん坊の母親が言い合いになる場面がある。
ジャーナリストである監督は、イスラエルのやり方に対し疑問を感じているが、やはり考え方はイスラエル側。
そして赤ん坊の母親は、助けてもらったイスラエルに感謝してはいるが、やはり考え方はパレスチナ側。
いのちを救うという人間の根本に関わっていても、そう簡単には埋まらない溝がこの2人の間にはあるのだ。
ジャーナリストは言う。「半分に分けよう」
それが出来たらこんな悲劇は起こらない。こんなに人は死なない。
そんなことは前線で取材を続けてきた彼には百も承知だ。
それでも言いたい。言わなきゃいけない。言い続けなきゃいけない。
すぐに答えの出る問題ではないが、誰もが知っておくべき問題なのだと思う。