舞い落ちた枯葉が朽ちていくように、静かにひっそりと形を失っていく村。
そこに残された人々の生と死を、夢と現実の間をたゆたうように紡がれる物語。
ポスターや予告の雰囲気から、自分が好きなタイプの映画だとかなり期待して観に行った。
監督のグレゴル・ボジッチは本作が長編デビュー作で、脚本と編集も務めている。
期待どおり画が美しく、とても絵画的に撮られていた。
特に光と影の使い方が印象的だなと思ったら、監督はレンブラントやフェルメールに影響を受けたそう。
美しくファンタジックに描かれるのは、あまりにもリアルで、そのにおいまで感じられるような死。
人が終わり、村が終わり、国が終わる。
残酷で、それでいてあっけない、そんな「終わり」に、人はどこか美しさを感じてしまうのかもしれない。
美しいだけでなく、質感やにおいまで伝わってくるような作品。
ただ、「画で語る」というよりは「画で魅せる」作品という感じがした。