ミチ

栗の森のものがたりのミチのレビュー・感想・評価

栗の森のものがたり(2019年製作の映画)
4.1
舞い落ちた枯葉が朽ちていくように、静かにひっそりと形を失っていく村。

そこに残された人々の生と死を、夢と現実の間をたゆたうように紡がれる物語。


ポスターや予告の雰囲気から、自分が好きなタイプの映画だとかなり期待して観に行った。

監督のグレゴル・ボジッチは本作が長編デビュー作で、脚本と編集も務めている。

期待どおり画が美しく、とても絵画的に撮られていた。

特に光と影の使い方が印象的だなと思ったら、監督はレンブラントやフェルメールに影響を受けたそう。


美しくファンタジックに描かれるのは、あまりにもリアルで、そのにおいまで感じられるような死。

人が終わり、村が終わり、国が終わる。

残酷で、それでいてあっけない、そんな「終わり」に、人はどこか美しさを感じてしまうのかもしれない。


美しいだけでなく、質感やにおいまで伝わってくるような作品。

ただ、「画で語る」というよりは「画で魅せる」作品という感じがした。
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