壊してしまった僕の、壊してしまった後の物語。
幼い頃からずっと一緒だったレオとレミ。
一緒にいるのが当たり前で、一緒じゃないなんて考えられなくて。
それは日常であり、永遠だと思っていた。
だけど、日常も、永遠も、ほんの些細な出来事で、ちっぽけな石ころひとつで、簡単に壊れてしまう。
でもそこにあることが当たり前すぎるからそんなこと信じられなくて、みんな壊れて初めて気づく。
ああ、あれは日常じゃなかったんだ。永遠じゃなかったんだって。
そして壊れてしまうのは一瞬で、壊れてしまった後に続くのは、それこそ永遠にも思える長いトンネルだ。
その長いトンネルの中を、前も後ろも、どうして自分がここにいるのかさえ分からないまま彷徨い続ける13歳のレオ。
小さな体の中にいまにも爆発しそうな感情を抱えて、でもそれを吐き出す術も言葉も持ち合わせてなくて、それでも時間はどんどん進んで行く。
そんなトンネルの中でもがきながら、絞り出すようにこぼれる数少ないレオの言葉が、切なくて苦しくて全身に突き刺さってくる。
悲しみってきっと、やり過ごすことも受け入れることもできない。ずっと対峙していくものなのかもしれない。そんなことを思った。
何かを提示することなく、どこまでもレオに寄り添う視点が素晴らしかった。
繊細で美しくて、でもそんな言葉では表しきれない作品。
花畑を走り抜ける2人の笑顔が忘れられない。