湿地で見つかった男の死体と、その湿地でたった一人で暮らす少女の物語。
劇場公開時から気になっていたのだが、先に原作を読みたくなり、読んでいる間に上映が終わってしまった作品。
配信が始まったので、原作を読み直しながら観た。
原作は、たぶん今まで読んだ中で最速で泣いた本かもしれない。
それぐらいカイアが背負う運命は過酷で、読んでいて胸が苦しくなった。
ただ、動物学者でもある著者の自然の描写がとても美しく、映画でその光景が目の前に現れた瞬間とても感動した。
もちろん描き切れない部分はあるが、かなり原作に忠実で、細かな描写をさりげなく描いている点もリスペクトを感じた。
ラスト付近の映画ならではの演出も世界観に合っていて良かった。
個人的には犯人が誰かよりもうひとつの真実に心を揺さぶられたのだが、映像では表現しにくいこともあり、その部分は完全に削られてしまっていたのがちょっと残念だった。
それでもひとつの作品としてとても美しく、それぞれのキャラクターも魅力的だった。
原作同様、少女の成長物語として話が進み、最後にちゃんとミステリーとして終わるのはお見事。