GUMI

スモークのGUMIのレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
3.9
クリスマスの優等生的作品を発見。
たばこをゆっくり吸えることの豊かさ。時間的にも人間的にも。


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10年の間、毎日同じ時間·同じロケーションの写真を1枚取り続けるたばこ屋店主のオーギー
その親友、妻を亡くした傷が癒えない作家のポール
ひょんな事からポールを助けた、何だかワケあり気な黒人青年のラシード

同じ時間軸を過ごす彼らそれぞれの視点から描く。

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ここでのたばこを吸う時間は、人生を味わう時間なのかな。

誰かと話しながら吸う、抱えている問題について考えながら吸う、仲間に小話を披露しながら…
この映画の中ではせっかちにたばこを吸う人はいなかった。「嗜む」とは正にああいうこと。
あんなににこやかに和やかにたばこを吸われると吸いたくなる…彼らは適切な距離感でたばこと付き合っていますね。


「煙の重さは量れるか?」
という面白い小話があったけど、人との出逢いも形や重さは掴めないけど ああやって量るのかな。
この人に出逢えた人生からこの人に出逢っていない人生を引く。それが自分にとっての「この人」の価値。

ちょっとした関わりが人生やその人の考え方を変えるということが描かれていたように思う。
人との出逢いが自分に与える影響力は数値化こそできないけど、確かに重さがある。

クリスマスにオーギーと過ごせたあの老婆、彼と出逢っていなかった場合よりも幸福感を感じる人生だったことだろう。
終盤、観ている最中は出来事を眺めながら掴みどころのない温かさを漠然と感じていたんだけども、後から考えれば考える程にあの時間の尊さを理解していって…老婆の喜びが自分にも染み渡ってこぼれた。



たばこをゆっくり嗜むようなスローテンポ、物語の起伏も抑え目な造りなので眠いときには観ない方がいい。