めしいらず

スモークのめしいらずのレビュー・感想・評価

スモーク(1995年製作の映画)
4.3
愛する人の記憶を残しておくのには、写真が断然いい。財布にでも忍ばせておけば、いつでも取り出してその日に帰ることができるから。時間の経過は、人生の特別な場面も、なんてことない場面も、悲しい記憶さえも、おしなべて愛おしいものに変えてくれる。人は皆、嘘を、罪を、その悔いを、その哀しみを、密かに抱えているもの。人生は誰にとってもしょっぱい。時に間違うし、そのことで大切な人を深く傷つけてしまう。それでも多くの人の手助けがあって今ここにいる。作家が写真に亡き妻を見つける場面に、モノクロのラストに、何故だろう、勝手に視界が滲んでしまう。紫煙が目に沁みたものか。
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