このレビューはネタバレを含みます
あああ 面白かったです。
天才の話大好きだから。
チェスの面白さ、天才への憧れ、子供らしさ、子育て、英才教育、ライバル、友情、スランプ、などなどなど、
いろいろギュッと詰まってて良かった。
ライバルに引き分けを提案する天才の残酷さ!
勝負なのに、相手を負かせたくないという、残酷な優しさと、子供らしい傲慢さ!
引き分けの申し出を受けることができない、つまり、自分が負ける未来を読めない、天才と同じ土俵に立てていない、対戦相手の悲しさ!
あそこで納得して手をとってくれたら、ライバルになれたかもしれないのに。
申し出を断られて、対戦相手を容赦なく蹂躙する、天才の一抹の孤独と寂しさ!
勝負を決めたのは、クイーン!!!
あのシーンに、私の求めるもの全てが詰まってた。
うまく言えないけど。
負けてしまったジョナサンがジョシュのライバルとして戻ってきてくれることを願う。
勝利を重ねるジョシュがこのまま真っ直ぐ生きられることを願う。
そこからはもう少年漫画の世界だ。
もちろん、他にも見所はあって、黒と白の駒を操るプレイヤーが黒人と白人だったり、天才少年をスランプから脱却させるのがストリートでチェスやってる黒人で、そこには年の差を超えた友情があったり、ニクイ演出。
勝ち負けにこだわるのではなく、最初にチェスを好きになった原点に立ち返り、スランプから抜け出す。チェスの楽しさを思い出すというのはありがちだが、やはり胸が熱くなる。
父親の気持ちもわかるし、母親の真っ当さにも救われた。コーチの事情をもうちょっと見たかった気もするがなあ。
演出がさらっとしていて、良質な小品という感じがして、良かった。主人公7歳だもんな。天才少年の描き方としては、とても真摯で上手だとも思った。
成長した彼の物語も見たいな、と思ったよ。