ほーりー

真昼の決闘のほーりーのレビュー・感想・評価

真昼の決闘(1952年製作の映画)
4.5
手伝って欲しいときに限って周囲に誰もいない。皆さん、危機察知能力が優秀なせいかスーっとどこか消えちゃうんだよね😅

この映画は、市民を守るために命がけで戦った保安官が今度は自分が悪党から命を狙われるのだが市民たちが誰一人加勢してくれない絶望感を描いた作品。

これがかの有名な「真昼の決闘」である。主題歌もかの有名な「ハイ・ヌーン」。

監督はフレッド・ジンネマン。主演は本作で2度目のオスカーを獲得したゲイリー・クーパー、そして本作を機にスターダムをかけ上がったグレース・ケリーである。

クレジットを見ると、クーパーの名前が一人大写しされたあと、トーマス・ミッチェル、ロイド・ブリッジス、ケティ・フラドと続いて、グレース・ケリーの名前がクレジットされているので、まだまだこの頃は新人扱いだったことがわかる。

前回「リオ・ブラボー」のレビューで書きましたが、ジョン・ウェインとハワード・ホークスが憤慨したのがこの作品であります。

午前10時半、町外れの駅に人相の悪いガンマンが集結する。ちょうど12時着の汽車に乗ってくるある人物を迎えるためだった。

その頃、保安官(クーパー)とその妻(ケリー)と結婚式をあげていた。彼は敬虔なクエーカー教徒の妻のために、この日を最後に仕事を辞めようとしていた。

そこへかつて保安官が逮捕した悪党が無罪釈放されて、12時の汽車で町に戻ってくるとの一報が入る。戦慄する一同。

男は保安官に逮捕された際、必ず復讐しに戻ってくると捨て台詞を吐いていた。銃撃戦になることを恐れた町の人達は、保安官にさっさと町から逃げるように忠告するが、自分が戦わずにして逃げたら町は昔のような無法地帯に逆戻りになってしまうと考えた保安官は町に慰留することを決める。

だがしかし、町のために立ち上がろうとした保安官に対して市民の目は冷たいものだった。

ヘンリー・フォンダの「牛泥棒」とならんで人間不信になっちゃうような西部劇で、フツーに現代でも通じる作品である。

劇中の時間と実時間が一致しており、運命の12時が刻々と迫ってくることによる焦燥感が観てるこちら側にも伝わりやすい作りとなっている。

純粋で真面目なグレース・ケリーと酸いも甘いも噛み分けたようなケティ・フラドとの対比も良い。

ただ肝心の敵役がちょっと言われる程の大物感がなかったのが勿体なく感じた。これがブライアン・ドンレヴィとかリー・マーヴィンやスティーヴン・マクナリーあたりだったら凄味が効いたように思う。

ちなみに手下の悪党役にまだ若手の頃のリー・ヴァン・クリーフが出演しているが、この頃から眼孔が鋭くちょっとした役柄ながらも印象深い。

それにしてもロイド・ブリッジスにあんなにボコボコに殴られながらも普通に強いゲイリー・クーパーを見てると、最初から住民の手を借りなくても勝てるのでは?という気もするのだが。

■映画 DATA==========================
監督:フレッド・ジンネマン
脚本:カール・フォアマン
製作:スタンリー・クレイマー
音楽:ディミトリ・ティオムキン
撮影:フロイド・クロスビー
公開:1952年7月24日(米)/1952年9月17日(日)
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