継

親愛なる日記の継のレビュー・感想・評価

親愛なる日記(1993年製作の映画)
4.0
初夏のローマの街を、ベスパで流す 🛵~~♪~~♪。
偶然?遭遇したジェニファー・ビールスに変態扱いされ、ふらりと入った映画館で『ヘンリー』を観て、誉めてた批評家に文句を言いに行く(笑)。
やがて市街地を抜けたベスパは、ビーチ沿いのパゾリーニ殺害現場を目指すー。

監督、脚本、主演するモレッティがフィルムに綴った3章からなる日記。
第1章「ベスパに乗って」、第2章「島めぐり」、第3章「医者めぐり」。
1章はローマの街をめぐる話だから、つまりは全て「めぐる」話。
各章に繋がりは無くて、風刺は効かすけど声高に叫ぶことはしないで、
この人の持ち味というか風通しの良い軽妙さで描き、綴っていく。

パルムドールを受賞した『息子の部屋』の8年前、'93年の作品です。

冒頭に書いた1章が好きで此処だけ何度も観てる。
ローマ郊外を流すベスパ。
涼し気に散策する街並みの、建造された時代で顔立ちが異なる集合住宅の建築や、趣向を凝らした飾り窓・バルコニーのデザインが楽しい。
カメラはモレッティを車で追っ掛けて撮ってるだけなんだけど、コレが気持ち良くて♪
住宅地を抜けた辺りで キース・ジャレットの “ケルン” を鳴らして🎹、それとなく感情を揺さぶってくるエモなカンジとかもとても好き。

癌と診断された顛末を綴る3章は 実際もっと深刻だったハズの闘病生活を面白おかしく演出して、医者や医療制度を茶化す描写にしてるのがコノ人らしい。

ブライアン・イーノを使った『息子の部屋』も良かったけど、アルヴォ・ペルトの『母よ、』はイマイチでした。ECMは自分も好きだけど、“タブラ=ラサ”を使ったのは勇み足な気がします。
本作の軽やかなモレッティが、自分には合うようです(^-^)。
継