茶一郎

シンデレラの茶一郎のレビュー・感想・評価

シンデレラ(1950年製作の映画)
4.5
『信じていれば夢は叶う』

 驚くほど面白かった。文字通りの『シンデレラ』ストーリー、1952年公開ということで回りくどく言えば、ジョンラセター、マイケルアイズナーと振り返り、元祖ウォルト・ディズニーの製作の元での作品。

 素晴らしい劇中歌(ビビデバビデブーなど)はさることながら、劇盤が効果音的に異常なまま映画とリンクしている。いや、していても違和感がなく面白いといった方が正しく、これぞアニメーションという感じ。
また、シンデレラ、まま母・ネズミ、猫と明らかに写実的・非写実的とアニメーション表現が異なっているのも興味深かった。

 加えて、特筆すべきは、シンデレラのストーリー進行とネズミ達のストーリー進行が別々のスケールにあること。結果的にネズミのシンデレラへの視点が観客の視点と重なるのも、シンデレラよりむしろネズミ達に感情移入を強めているように感じた。
何しろ、後半のサスペンス部分が面白い。

 『信じていれば夢は叶う?ケッ』と今作のテーマを少し馬鹿にしていましたが、当時のディズニースタジオの状況。
戦中、戦後直後と「白雪姫」以後大ヒットがなく経営が非常に困難な中、ウォルト・ディズニーが9人のアニメーターを無駄無く配置し、多重録音、実写からアニメへの変換など、リスクを恐れず、まさに『信じていれば夢は叶う』と大ヒットさせたのが今作だと知れば、甘々に感じる今作のテーマにも少し勇気をもらえた自分がいました。
茶一郎

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