茶一郎

ありふれた教室の茶一郎のレビュー・感想・評価

ありふれた教室(2023年製作の映画)
4.3
 2024年度「低脂肪」映画グランプリ(暫定)。学校を舞台にした作品ながら、カリスマ教師も超問題児もいない。青春の一幕も生徒と教師の友情も映らず、仕事で悩んだ若手教師が親に電話をかけるお決まりもない。何より主人公の家/背景が描かれず、学校以外が映らないのだ。
 徹底的に贅肉を削いだ高濃度サスペンスで、主人公が学校側と保護者・生徒側にただ板挟みに遭っていく過程を描く。それだけなのに何故か面白い映画。 
 今年度のサスペンスはこれだろうと、思わず99分弱見入ってしまった。最も怖いのは「生徒のための教師」だったはずの主人公が序盤、一線を越え、次第に強固な体制側の監視に加担していく様子。体制側への反抗を貫いた意外な勝者(?)の讃え方には、思わず笑い声が漏れてしまった。

 ◆Podcast「映画世代断絶」で話します。
茶一郎

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