マルケス

サラの鍵のマルケスのレビュー・感想・評価

サラの鍵(2010年製作の映画)
4.0
第二次大戦中に迫害されたヨーロッパのユダヤ人。膨大な数の彼らについて記した本があるとするなら。とあるページの片隅にひっそりと書かれたサラの物語。
60年前と現代の物語がどうクロスするのか、サラの消息はどうなったのか、ミステリー要素も加わって引き込まれた。
サラが大事に握りしめていた鍵。開けた扉の中にあったのは、サラを生涯苦しめた後悔であり、差別が生む憎悪を利用した人類の大罪であり、家族を思う愛だった。

忘れられないシーン。収容所から脱走を試みて警官に見つかってしまったサラ。サラは「ジャック」と警官の名を呼び、「私はサラ・スタジンスキよ」と自分の名前を告げる。警官は鉄条網を上げてサラを逃がしてくれた。警官という肩書きや人種という集団ではなく、個人として向き合った時、人は差別の垣根をひとつ越えられる。そんなことを思わせるシーンだった。
マルケス

マルケス