あきらっち

スワロウテイルのあきらっちのレビュー・感想・評価

スワロウテイル(1996年製作の映画)
4.2
ストーリーと相まった“あいのうた”が心に沁み渡る。

“アゲハ”を演じる伊藤歩の透き通る眩しい演技。
“グリコ”を演じるCHARAのエキゾチックな表情と独特な声色が絶妙にマッチした艶のある演技。
そして“あいのうた”を唄うCHARAの歌声とその歌詞の世界観が見事にラップし鳥肌が立つ。

今から20年以上前となる1996年公開の本作を今更ながらに鑑賞して、ノスタルジックの中にも決して色褪せない、観る者を惹き付ける力強さに驚いた。

好き嫌いはあるだろう。

世紀末を思わせるような円盗(円都)の荒廃的な世界にはびこるバイオレンスの数々。

一攫千金を求めてやって来る外国人による混沌とした円都“YEN・TOWN”

やがて生まれるグリコやアゲハやヒオ(三上博史)達の絆。
お金を求め辿り着いたその先は…

「YEN・TOWN・BAND」の皆の笑顔を思い出し、切ない余韻が胸を打つ。

グリコとアゲハの胸に宿る“Swallowtail Butterfly”の魔法。
きっと二人、嵐に翼をひろげて飛んで行けたと信じたい。
“あいのうた”を道づれに。


※粗削り感は無くはないが、そんなものを凌駕する熱量と魅力的な役者達の演技も音楽も素晴らしかった。これが岩井俊二ワールドなのか…
三上博史も江口洋介も渡部篤郎も大塚寧々も山口智子も当たり前だが皆若い!そしてやっぱり良い味出している!
伊藤歩の初々しくても芯のある表情と眼力がとても素晴らしい。
そしてCHARA。彼女のキャラクターも歌もどハマりだった。

“あいのうた”のフレーズが心に刺さる。

“ここから何処へいっても
世界は夜を乗り越えてゆく
そしてあいのうたが
心に響きはじめる”

“私はうわの空で
あなたを思い出したの
そしてあいのうたが響きだして…
        
私はあいのうたで
あなたを探しはじめる”


映画は切ない余韻を残したが、
この歌には希望がある。
だからきっと…
あきらっち

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