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シドニー・ホワイトと7人のオタクのRのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2007年のアメリカの作品。

監督は「スリープオーバー」のジョン・ナスバウム。

あらすじ

奨学金で大学に入学したシドニー・ホワイト(アマンダ・パインズ「小悪魔はなぜモテる?」)は亡き母に憧れ、母親と同じ大学の社交クラブに入会するが、そこで意地悪なレイチェル・ウィッチバーン(サラ・パクストン「フロントランナー」)に騙されて、居場所を無くしてしまう。そんな彼女の前に現れたのは「竜巻小屋」と呼ばれる廃屋産前の大学寮に住む7人のオタクたちだった。

Netflixで見つけて、それなりに気になっていてようやく鑑賞。

これ、なかなか掘り出し物的面白さがある作品でした!

お話はあらすじの通り、個人的に大好きな「大学青春もの」なんだけど、なんと言っても本作の特徴は、あのディズニーの代名詞的童話「白雪姫」を「大学生活」に置き換えて現代版にアップデートしているというアイディアにある!

例えば主人公はシドニー・「ホワイト(白雪姫)」だし、そのライバルで本作では悪役ポジがレイチェル・「ウィッチ(魔女)」バーンだし、そんな彼女たちと恋の三角関係となる恋のお相手はご丁寧にもタイラー・「プリンス(王子)」となっている。ちなみに、レイチェルに関しては、「魔女」というか「意地悪な女王」キャラとして「鏡よ、鏡…」でお馴染み「魔法の鏡」の代わりに「大学美女ランキング」なるホームページが存在し、日々更新されるそのランキングに一喜一憂しているという要素まである!他にも展開的に「白雪姫」を彷彿とさせる要素があるんだけど、それについては後述。

で、なんといってもタイトルにある「7人の小人」ならぬ「7人の"オタク"」と称されるオタクたちの個性豊かな感じがめちゃくちゃ良い!!例えば花粉やらハウスダストなどのアレルギー持ちでしょっちゅうくしゃみをしているレニー(ジャック・カーペンター「愛しのベス・クーパー」)だったり、大学を8年留年しながら研究に没頭するテレンス(ジェレミー・ハワード「ミュータント・タートルズ」)、「仕置人.com」というサイトを運営している皮肉屋のグルキン(ダニー・ストロング「ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー」)、女の子に人一倍目がないスパンキー(サム・レヴァイン「イングロリアス・バスターズ」)、人前で話すのが苦手でいつも手に犬のパペットを付けてるジェレミー(アダム・ヘンダーショット「タンク・ブラザーズ/脱線ファンにご用心」)、いつもボーイスカウトの服を着ているジョージ(アーニー・パントジャ)、そして南米からやってきて数年も経っているのに未だに時差ボケが直らず、ずっと寝ているエムベレ(ドンテ・ボナー)といった面々なんだけど、なんつーかルックスの本物感がすごい笑!!マジでみんな童貞にしか見えない気合いの入りようで、こんなボンクラ集団よく集めたな!というくらいみんなとにかくすごかった!!

で、そんな面々とシドニーが「竜巻小屋」と呼ばれるヴォルテックス寮というか、ボロ屋敷で共同生活を送ることになるんだけど、内装もスターウォーズに出てくるキャラの等身大のフィギュアなんかが飾ってあったりと7人のオタク趣味全開な感じがあったり、配線から時々火花が散って壁から出火、そのたんびに近くにいる奴が消化器で火を消したりするなどオタク&ボロギミック全開な狭っ苦しい部屋の中で「ツルモク独身寮」みたいな女1人男7人の共同生活模様のキャッキャ感がまぁーそりゃ見てるだけで楽しい!!こういう「大学寮もの」でしか得られない成分があるんだよなぁ(俺自身、寮生活憧れがあるのも一因)。

またシドニーがものすごく良い子で少々パンチがあるオタクたちに対しても一切嫌な顔せずに一緒になって楽しんだり、困っている人がいたら誰に対しても優しくてすごく好感が持てて応援したくなる!!

で、中盤からは大学の選挙?かなんかみたいな催し物で立候補者のレイチェルに勝たないと竜巻小屋が取り壊されてしまうことになり、1番年上のテレンスを立候補に立てて、選挙活動をすることに…。ただ、途中でこのテレンス、どうやら実質的には大学を卒業扱いになっていたらしく(つか、それでも大学に居座るって相当肝座ってる)、代わりにシドニーがレイチェルと直接対決することに!

大学のテーマ論文で「選挙活動」について論文を書くのと、選挙当日にみんなの前で演説する二つの名目をクリアしないといけないことになるんだけど、シドニー自身はそりゃもちろん良い子だから、草の芽運動で大学のギリシャ区画と呼ばれる上級階層ではなく、それによって苦渋を味わっているそれ以外の層に手を差し伸べることで賛同を徐々に得ていく。

で、美女ランキングもはじめは300位くらいにしか入ってなかったのに、いつのまにかレイチェルを追い抜いて1位になっちゃってこりゃやばいと踏んだレイチェルが怪しげな業者のもとに行って、なんと「毒リンゴ」の代わりに「コンピュータウィルス」を仕込んだメールをシドニーのパソコンに送って、それを誤って開いたシドニーによってパソコンのデータが全消し…。うわぁ、最悪!!つか、毒リンゴの代わりがウィルスって作り手よく考えたなぁ!

ただ、それでも諦めないと夜通し論文を作り直すシドニー、徹夜の作業で疲れ果てて眠りこけてしまい、演説までの時間に間に合わない!という状況下で助けに舞い降りたのがタイラー王子!!そうなってくると、ははぁ!ここで「王子様のキス」要素を回収してくるのかよ!マジで上手いな!

そんな感じで終盤の中で怒涛の白雪姫フラグを回収しまくるお話の上手さが目立つ非常によくできた作品なんだけど、その分惜しい部分も多々あって、まず、これは全体的に言えることなんだけど、勝つためのロジックがあんまり描かれていない点が挙げられる。

そもそも、美女ランキングに関しては見た目的にはそれほど美女って感じじゃないシドニーが初めから300位くらいとは言え新入生がランクインできないはずのランキングに何の理由もなく入っちゃってるし、選挙活動もまぁ要素として出してるだけで具体的に何が賛同を得たのかよくわからないからあんまりクライマックスにかけてのカタルシスがない。

で、肝であるクライマックスの演説シーンでは「みんなオタク!」というオタク讃歌的な終着でレイチェルに打ち勝つんだけど、まぁ言いたいことはわかるけど、「俺も!私もオタク!」みたいな1人1人がオタクを証明する流れもなんか臭いのと、1番どうかと思ったのが犬のパペットを肌身離さず大事に持って、もう1人の自分よろしく扱ってたジェレミーが人前で話すことを克服すると同時にそのパペットを放り出すって…いや、そこは今まで支えてくれた存在としてどっかに飾っとくとかしとこうよ、なんかぞんざい笑。

あと、いくら悪役とはいえレイチェルに救いがなかったのも残念だったかなぁ。まぁそれなりのことやっちゃってるんだけど。

まぁ、そんなことは言いつつ、全体的な大学ノリも楽しく、白雪姫を大学版にアップデートするというなかなか変わり種のアイデアもよく描けていて、かなり掘り出し物的に楽しめる一作でした!!
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