にーやん

霧の中の風景のにーやんのレビュー・感想・評価

霧の中の風景(1988年製作の映画)
3.7
幼い姉弟が父親を求めて旅をする。それは気持ちがちぎれてしまいそうなくらい過酷であてのない旅。


作品全体を包み込む 静けさ が印象に残る作品。セリフも極端に少ないので必然的に映像に気を取られてしまうのだけれど、しかしそれが難解で全く油断ができない。

逃げる花嫁、瀕死の牛、海から引き揚げられる巨大な右手のオブジェ、静止した大人たちの間をすり抜けふたりが逃げる 雪の降る街 などなど。見てみぬふりが正解のような気もしないでもないけれど気になって仕方がない。それが何なのか自分には到底理解はできないけど、こういった印象に残るシーンがとても多い。


子供を主人公に据えながらも、淡々と力強く人生の厳しさと希望を描くテオ・アンゲロプロス監督のおとぎ話。←監督御本人曰く、そうらしい。

「霧の中の風景」自分には 人生の風景 のようにも思えたり。
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