masahitotenma

スケアクロウのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

スケアクロウ(1973年製作の映画)
3.9
ジェリー・シャッツバーグ監督による、社会から落ちこぼれた男同士の友情を描いたロード・ムービー。
アメリカン・ニューシネマの傑作。
原題:Scarecrow (1973)

暴行罪で6年間の刑期を終え出所したマックス(ジーン・ハックマン)は、南カリフォルニアの道路で、同じくヒッチハイクをしていたライオン/ライアン(アル・パチーノ)と出会う。
ライオンは(家を黙って出ていき)5年ぶりに帰ってきた船員で、一度も会ったことのない子供に会うため、デトロイトにいる妻のもとに向かう途中だった。
マックスから、"デンバーにいる妹に会ってからピッツバーグへ向かうが、そこで開業する洗車業の共同経営者にならないか"と持ちかけられ、共に行動することにする。
やがて、デトロイトに着き、ライオンは家の前の電話ボックスから妻アニー(ペネロープ・アレン)に電話をする…。

「案山子はおかしな帽子におかしな顔をしているだろ。あれは、カラスを笑わせるためさ。
カラスは笑うのか?
そうだ。笑ったカラスはこう言う。"ジョンじいさんは本当にいい人だ。困らせるのはよそう"」

冒頭の二人が出会うシーンから、カメラワーク、マッチの使い方など、監督の映像感覚に唸らされる。
主演の二人。嘩っ早いマックス役のジーン・ハックマンと、おどけて人なつっこいライオン役のアル・パチーノ、特にアル・パチーノの演技は称賛に値する。
冷静さを失い混乱して言った一言(噓)がもたらす怖さとタイトル「案山子」が作品に重みを与えている。
masahitotenma

masahitotenma