ぬーたん

スケアクロウのぬーたんのレビュー・感想・評価

スケアクロウ(1973年製作の映画)
4.2
おそらく10代後半に観たと思うがこの映画の良さは分からなかった。どうだったのかも覚えてないから。それから40年も経って今はこの映画が心に刺さる。刺さって痛い。
1973年のロードムービー。荒涼とした景色で始まる、ヒッチハイクする2人の男。帽子にメガネ、葉巻をくわえる大柄な男マックス。じーっと様子を伺って話しかける小柄な男ライアン(ライオン)手には赤いリボンの付いた箱。マックスをジーン・ハックマン。現在は90歳、現役を退いて久しい。この当時は43歳。顔も雰囲気も変わらない。前々年に『フレンチ・コネクション』前年に『ポセイドン・アドベンチャー』どちらも良かった。遅咲きだが既に威厳がある。
ライオンをアル・パチーノ。現在80歳で当時は33歳か。若いなあ。前年『ゴッドファーザー』でブレイク。この翌年は『ゴッドファーザーⅡ』で主役。乗りに乗ってる、若くて鋭くて美しい。
この名優2人のロードムービーというだけで豪華だ。しかし、その内容はハチャメチャ。若い頃には受け付けなかっただろうと思うどうしようもない2人。
2人には其々の目的がある。マックスは刑務所から出所したばかりで、洗車屋を始めること。ライオンはまだ会ったことのない自分の子供に会うこと。そしてマックスに誘われて洗車屋を手伝うことに。
その目的地に向かうために2人はヒッチハイクや貨物車に乗って途中寄り道しながら旅をする。そこで色々と事件は起こる。何と言ってもマックスは気が短く喧嘩っ早い。後先なぞ考えない男だ。ライオンも巻き添えを食らい、一緒に更生施設に(何やってるんだい、あほか。と思うよ)そこで出会う仕切ってる男ライリー。リチャード・リンチという俳優。金髪でミュージシャンのようなタイプ。この映画がスクリーンデビュー。67年にドラッグ大量摂取でセントラル・パークで自分に火を放ち大火傷を負って、整形したそうだ。やばい、本物じゃん!
見所は先ず、マックスのストリップ!ライオンの機転で音楽をかけて店で踊りだすマックス。脱いでも脱いでもまだ着てる~😅ハックマン、見事。
噴水でのライオン。その狂気振り、これまた見事な演技だった。悲しいシーンでもある。スケアクロウというタイトルの意味も、それを説明するライオンも良かった。
そして、ラストシーン、あぁ、素晴らしい。その場では過ぎるが余韻がずっと残り思い出すと胸が痛くなるヤツ。
どうしようもない男の、深い愛と友情。
10代では全く心に引っかからなかったのが不思議だ。
というか年取って分かる、奥深い作品ということにしとこう。
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