ある日、娘・昌子の様子がおかしいことに気づいた、父・昭と母・邦江。近くの医者にかかっても風邪としか言われなかったが、やがて昌子は強い痙攣を起こして苦しみ始める。急いで連れていった大学病院にて、昌子は破傷風にかかっていると診断される。
設定だけ見ると地味だが、実に恐ろしい映画。名前は聞いたことがあったが、破傷風がこんなにも恐ろしい病気とは知らなかった。極めて高い致死率、ちょっとしたことでも起きる痙攣と苦痛による叫び声。看護疲れ、感染の恐怖などで壊れていく両親。四六時中の呼び出しに疲れが溜まる医者。随所に差し挟まれるクラシック曲。難病ものというよりオカルトチックなホラー映画といった趣で、悪魔憑きってこんな感じだったのだろうか、などと考えてしまうほどだった。それだけに、最後治ったときの父親の喜びよう、軽やかな医者の足取り、夫婦の会話には、安堵せずにいられない。