こたつむり

ドラえもん のび太の宇宙開拓史のこたつむりのレビュー・感想・評価

3.2
★ めぐり逢い宇宙…想いは距離を越えて

劇場版第2作目。
ということで、本作からは新規に書き下ろされた原作を基に映画化。でも『大長編』のフォーマットが固まっていなかったのか、色々と粗さが見受けられました。

例えば、原作と映画の違い。
原作ではのび太の“射撃”が際立つ展開が多く、主人公の面目躍如たる活躍なのですが、映画ではその辺りが薄いのです。特に《ギラーミン》との対決が削られたのは…本当に残念。

また、物語の構造としても。
横移動が少ないので冒険感に欠けました。確かに、のび太の部屋と宇宙船が四次元的に繋がった…というのはS(すこし)F(ふしぎ)な展開であり、素敵な着想なのですが、映画に向いていたか…というと微妙なところ。

勿論、原作だとそれが気になりませんからね。
これは漫画と映画のメディアの違いなのでしょう。それを藤子・F・不二雄先生も自覚されたのか、次作『のび太の大魔境』は王道の冒険譚になるのですが…それは別の話。

また、漫画と映画の違いと言えば。
“のび太と《ロップル》の友情”を丁寧に描く時間が足りなかったのも残念。ただ、当時は同時上映作品が存在しましたからね。上映時間90分というのはギリギリの判断だったのでしょう(これでも前作に比べると長いのです)。

そして、本作の一番大きな問題点。
それは《チャミー》の外見がポップになっていること。これは断言しましょう。改悪です。しかも語尾に「だわさ」と付く始末。違う違う違う。チャミーはネコっぽいからこそ、ドラえもんとの絆が微笑ましくなるのです(ドラえもんはいつもネコにフラれていますからね)。

まあ、そんなわけで。
原作を上手く調理できなかった作品。
…ですが、子供はそんなことを気にしませんからね。うちの息子は大いに楽しんでいました。やはり大人になると…色々と薄汚れてしまうのです。

あ。でも。
コーヤコーヤ星の“異世界”感覚を上手く表現した場面…つまり、パオパオやウオガエルなどの個性的な動物が登場したときは楽しかったです。特にタマゴ鳥は、映画オリジナルの設定も観ることが出来ました。いやぁ。あれは反則ですね。可愛すぎます。

To be continued… →→→ 『ドラえもん のび太の大魔境』
こたつむり

こたつむり