ひろぽん

名探偵コナン 戦慄の楽譜(フルスコア)のひろぽんのレビュー・感想・評価

3.7
劇場版『名探偵コナン』12作目

有名な元ピアニストである堂本一揮が率いる音楽アカデミーの出身者ばかりを狙った連続殺人事件が発生する。 コナンたちはその元ピアニストが作った音楽ホールのコンサートに招かれるが、コンサート本番に向けて次々と不振な事件が続発する。 そして、本番当日にコナンたちがコンサート会場を訪れると、大爆発が起こり会場は火の海に包まれてしまう。完全防音でコンサートを楽しんでいる観客たちを無事救えるかという物語。


冒頭のピアノの鍵盤から奏でられる映像と名探偵コナンのアレンジされたメインテーマがいつもと違う雰囲気でとてもカッコいい。

今作の最大の見どころはコナンと一流のソプラノ歌手である秋庭怜子がタッグを組んで行動するところ。ゲストキャラがメインで活躍するというレアな回でもある。

音楽をテーマにした作品で、実際にプロのソプラノ歌手やオルガニストが制作に参加しているので、本格的な音楽を楽しめるのも魅力の一つ。タダならぬこだわりを感じる。

パイプオルガンから奏でられる不協和音が不気味で序盤から不穏な空気が漂っている。

今作のヒロインである秋庭怜子がコナン史上唯一無二のキャラでとても好き。絶対音感を持つプロのソプラノ歌手で、高い実力とプライドを兼ね備えた歌姫。どぎつい性格に見えるが、ストーリーが進むにつれて優しさが滲み出る魅力的な女性。歌っている時の華やかな衣装と、私服のラフな衣装にギャップがあってめちゃめちゃ可愛い。

残念ながら本作にしか登場しないが、いつか再登場して欲しいキャラNo.1。本作ではコナンの次に登場回数が多いというのも凄い。

離れた場所から自身の声だけで110番通報をするという名シーンは何回観ても驚愕する。実際に再現可能らしい。

『水平線上の陰謀』でサッカーボールの壁当てを練習してたおかげで、ピンポイントで受話器にサッカーボールを命中させるコナンのプロ並みのコントロール精度。

『紺碧の棺』でコナンが灰原を相棒と認めたのに対し、本作では灰原が相棒としてコナンを信じてるとアンサーを返す2人の信頼関係がとても素敵。

当時本作を観て「絶対音感」「アメイジング・グレイス」「パイプオルガン」を知るきっかけになった作品。

『アメイジング・グレイス』が許しの歌というのがまた素敵。

コナン映画史上耳で楽しめる唯一の作品。
中学生時代の新一と蘭がプロの『アメイジング・グレイス』を聴きながら、夕焼けの綺麗な帰り道を2人で歩く姿がとてもロマンチック。あんなに美しい歌声が聞こえてきたら、喧嘩してても聴き入って仲直りするのも納得できる。
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