Kogarath

東京物語のKogarathのレビュー・感想・評価

東京物語(1953年製作の映画)
4.3
いつか観ようと思いつつ、巨匠すぎて観る覚悟が無かった小津安二郎作品についに手を出してみた。
序盤は切り返しショットやローポジションといった技巧的な部分に注目して「これが小津調か~」なんてわかったようなこと言いながら観てたけど、物語が進むにつれて心地よさと居心地の悪さが同居する不思議な感覚に夢中になってしまった。動かないカメラと、独特の間。なるほどヴェンダースやジャームッシュが影響を受けたのも納得できる。

そこにあるのは古き良き日本の情景と、そのゆるやかな崩壊。
時代や社会によって薄れてしまう家族の繋がりを、老夫婦や紀子さんは否定せず受け入れる。人間はそういうものだと。そんなある意味冷徹な目線で撮られてはいるけど、これを観た人はみんな、親のことをもう少し大切にしようかと感じるんじゃないかな。そのさじ加減が絶妙だなと思った。
これはきっとまた観たくなる。
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