茶一郎

ワイルドバンチ/オリジナル・ディレクターズ・カットの茶一郎のレビュー・感想・評価

4.6
「暴力こそ、この世の花」

 この世界には「暴力」がある。アリの大群がサソリを襲う様子を見て、子供たちが笑っていた。人は生まれながらにして「残酷さ」を兼ね備えている。子供たちはその大量のアリとサソリに火を付け、また笑う。目の前に「残酷な世界」が顔を出したとき、今まで散々悪事を働いてきたギャングだとしても、人を殺す戦争が日常化している軍人でも、人は笑うしかない。

 普通のショットからスローモーションに移行する映像を生み出したエポックメイキングな一本であり、今作の死の瞬間のスローモーション、いわゆる「死のバレエ」は銃撃戦における「残酷」「暴力」を強調する。この世に確かに存在する「暴力」、「残酷」ありきのこの世を目に焼き付けられた。

ペキンパー製、犯罪により結ばれる男の友情、善と悪との区別がないアウトローの生き様、そしてシビれるほどの暴力アクションシーン、すべてがカッコいい。
兎にも角にも「動いたら殺される」、今作ラスト14分の銃撃戦を超えるアクションシーンはもう出てこないのでしょう。アクション、映画の快感です。
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茶一郎

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